ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)

チャンドラーの最高傑作

こちらも、村上春樹訳の方です。
以前の訳は知らないので何とも言えませんが村上版はとてもいいです。
ハードボイルドの世界を違和感なく表現しています。

長い話で、ストーリーも入れくんでいますが、中だるみせずに楽しめるのは物語自体の魅力もさることながら村上春樹の文章力によるところも大きいです。

この話は友情の物語だと思っています。
テリー・レノックスとフィリップ・マーロウの関係が必ずしも友人関係とは言えないかもしれませんが、この物語は友情について書かれていると思います。友情について、かわった角度から描いた作品として読んでもきわめて面白い小説です。

友情に限らず、人間関係についての深い洞察のもとに書かれた物語は名作が多く、また読み返したいと思わせるのもそのような小説です。
グレート・ギャツビーも、ある種の関係性に固執した男の話ととらえて読んでいました。
そのような関係性に対して、無関心をきどるか、あるいは極端に執着するか、いずれにせよ関係性に対する意識がつよい登場人物がでる小説というのはきわめて私の興味をそそるのだな、とこのようなblogを書いてると再認識できます。

ちなみに私はバーで頼むようなたぐいのお酒をほとんど知りませんが、この小説のおかげでかろうじてギムレットの名前だけは覚えることが出来ました。
非常に助かっています。