ティファニーで朝食を
ホリー・ゴライトリーの軽やかさ!
グレート・ギャツビーと同様に村上春樹版をお勧めします。
私はこちらに先立って龍口 直太郎翻訳版も見ていましたが、ホリーの生き生きとした感じ、色あせない感じにかんしては、やはり龍口 直太郎版は時代を感じさせるものになってしまっています。
主人公(狂言回しではなく)であるホリー・ゴライトリーの魅力はその軽やかさだと思います。
ここで、いわゆる「軽い女性」というのと「軽やかな女性」という際の区別は難しいものがありますが、私は主体性の有無だとおもいます。小説版のホリー・ゴライトリーにはその主体性があるとおもうのです。
映画版は違います。映画版はラストの改変によって、ホリー・ゴライトリーの能動的、主体的な行動を色あせたものにしてしまっていると感じました。オードリー・ヘップバーンの可憐さに救われて、一応見れる映画にはなっていますが、小説版のホリー・ゴライトリーの軽やかさ、そしてラストの余韻を知った後では陳腐にさえ感じます。
映画版の悪口のようになってしまいましたが、とにかくそれだけ小説版のホリー・ゴライトリーは魅力的であり、村上春樹の美しい文体も伴って、本作品は傑作と言ってよい翻訳小説になっています。
是非小説好きには一読してもらいたい作品です。
なお、この本はほかにもカポーティーの短編小説が含まれていますが、そちらもいい小説なので、得した気分になれます。
単行本の方がしゃれた装丁なので、プレゼントにも向いていると思います。
- 作者: トルーマン・カポーティ,村上春樹
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