法月倫太郎 一の悲劇 二の悲劇 しらみつぶしの時計

最近、ドラマで一の悲劇をやっていたので気になって原作を調べたところ、Kindle unlimited の対象となっていたため読み直して見ました。
一の悲劇、二の悲劇は主人公は共通なものの、ストーリー的な連続性はなく、読む順番を問いません。
ただし、二の悲劇は本格ミステリを期待すると若干肩透かしかもしれません。
解決のための手がかりが全て提示され、読者がこれを解くことを楽しむタイプの話では無いためです。
しかし、私は二の悲劇の方が好きです。
初めて読んだのは中学生時代だったと思いますが、登場人物の心の動きが丁寧に描かれていて、事件の謎以上に心惹かれたためです。
それぞれに歪な想いを抱えながら、否応なく悲劇的な結末に至る過程が心に残りました。
10年ぶり以上に再読したのですが、探偵役がこんなに思考錯誤していたっけ?と戸惑いつつ楽しめました。

一の悲劇 (祥伝社文庫)

二の悲劇 (祥伝社文庫)

あわせてノンシリーズ短編集、しらみつぶしの時計もKindle unlimitedの対象となっていたので読みました。
表題作は論理性を追求した作品。最初に命題を提示された時は全く解決の道筋が見えませんでした。
また、ノンシリーズと言いつつ、二の悲劇のパイロット版ともいうべき作品が、作者曰くボーナストラック的に収録されております。
外国小説風のものや、ちょっと不思議な話など、様々に趣向の凝らされた話が含まれており飽きずに楽しめます。

しらみつぶしの時計 (祥伝社文庫)