走ることについて語るときに僕の語ること

ランニングに興味ある人であれば読んで損なし

村上春樹は、小説よりもエッセイを好んでいるのですが、特に好きなのがこの本です。
何度か読んでいますが、個人的な経験として、ランニングを始める前と後、そしてランニングに飽きかけてきたときと、それぞれで受ける印象が違いました。
ランニングを始める前は、海外紀行文として楽しみ、
ランニングをしている最中はランニングの楽しみ、辛さを共感し、
ランニングに飽きてきたときは、村上春樹氏がウルトラマラソン後に燃え尽きた時の気持ちを共有し、
といった感じです。

氏のランニングに対する捉え方だけでなく、ランニングと作家業との関係性についての描写が巧みで、
読むたびに新たな感慨がある本です。

今回印象的だったのは、氏がハワイを8月で過ごすとアメリカ本土の友人に伝えたときになぜわざわざ暑いところに行くのかと驚かれたことを記した後の以下の文章です。
「しかし彼らは知らないのだ。北東の方角から間断なく吹き渡る貿易風が、ハワイの夏をどれ程涼しくしてくれるかということを。」

また折に触れて読みたい1冊です。

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)