白馬に乗られた王子様

キャラクターへの愛を感じる良作

かつて週刊少年ジャンプで連載をしていた漫画家さんの処女小説という点に興味を覚えて購入。
最後まで一気に読める良作でした。

恋を知らない若き女性とその原因を作った二人(?)組が、彼女が恋する心を取り戻す為に奮闘するという物語です。
多分に戯画的に描写されたキャラクター造形は、作者が少年漫画出身ということを感じさせますが、それが陳腐さではなく、読みやすさとさわやかな読後感につながっている点に好感が持てました。

いわゆる「奇妙な共同生活もの」といえますが、よくあるモチーフに小道具や風俗に現代性を感じます。
シリーズ化しても楽しい主役のメンツがそろっていますが、この終わり方だと難しそうですね・・・
しかし、あとがきを見ても作者の登場人物に対する思い入れが感じられて気持ちの良い作品でした。
本当に読みやすいので本が苦手な人にも薦められます。

白馬に乗られた王子様

白馬に乗られた王子様

異界のものとの共同生活ものというと、宮部みゆきのこの短編集の一編を思い出します。この機会にまた読み返したくなりました。

とり残されて (文春文庫)

とり残されて (文春文庫)