スーパー!(ネタばれあり)

キックアスとは全然!違う!でもそれがいい!

新宿の映画館で鑑賞。
あらすじはあらかじめ聞いていたので、キックアスの中年版ですこし重めの話になった感じかな?と考えていましたが全然違いました。
しかしこちらの映画もすごく良かった!

キックアスは現実にヒーローがいたら?を冴えない高校生を主役に描き、現実のルールを大きくはみ出さない程度にけれんみたっぷりに描いた青春ムービーでした。後味も爽快です。
一方スーパー!は妻をチンピラに奪われた冴えない中年がヒーローを目指す様をかなり痛々しく描いた作品です。とにかく痛々しい。主人公だけでなく、妻やサイドキックの女の子といった本人を取り巻く人々も軒並み痛々しいという悲惨っぷりでした。
そんな面々で繰り広げられる物語ですので当然のように痛々しい結末に向けてずぶずぶ進んでいきます。
爽快感を得れそうな流れであっけなくその期待を裏切り痛々しい展開をみせる、ということが繰り返されました。
F先生好きとしては「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」を思い出しました。この短編は実際にスーパーパワーを持つ男性が主役でしたが。
しかしそのような痛々しい物語でもテンポの良さと先の展開への興味からだれることなく最後まで観劇できました。

私がこの映画で最も印象に残ったのはラストシーンでした。
主人公は望んでいたものを手にすることはなくむしろ多くのものを失ってしまいます。少なくとも外面的には。
しかし、主人公は満たされた表情を見せて映画が終わります。このシーンは私は衝撃的でした。魍魎の函にでてくる、どんな悲惨な状況でも自分をその状況に合わせることが出来る、という登場人物を思い出しました。
これだけ痛々しい映画をどのように締めくくるのかな?と色々考えながらみていましたが、全く想像していないラストでした。と、同時にこれ以外ないという見事なラストだと思いました。

誰にでもおすすめできる映画ではないし、デートで見るような映画とも思いませんがあらすじをみて少しでも興味をもったら是非みてほしい映画です。

藤子・F・不二雄SF短編集<PERFECT版>3 俺と俺と俺 (SF短編PERFECT版 3)

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文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

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