ぼくのエリ 200歳の少女

美しくて切ない吸血鬼映画(若干のネタばれあり)

印象的なシーンが多い映画でした。
残酷なシーンから美しい風景、もしくは生々しい会話のシーンから美しい風景もしくはその逆、という風に場面の切り替えが見事でした。
主人公の金髪や華奢な体のライン、エリのエキゾチックな顔立ちや少しこもったような声(訂正:コメントで指摘頂きました。)、主要キャスティング二人のキャスティングはばっちりはまっていると思います。
複雑な家庭環境の孤独な二人、ということで、私は「小さな恋のメロディ」を思い出しました。
あの映画も、主人公二人のキャスティングの成功が映画の成功に結びつきました。(「小さな恋のメロディ」に関しては、ストーリーは割とトンデモ系の気がします。)

孤独な少年が、謎の少女と出会って、というモチーフは洋の東西を問わず多く見られますが(最近だと、漫画の「悪の華」が真っ先に浮かびます。)、きっと孤独な少年時代を過ごした人が映画関係者に多いのでしょう(偏見が大いに入っています。)。孤独な少年時代を過ごした私はおおいにシンパシーを感じます。

もう一つ、この映画で気づいた点を上げると、主人公の世界には嫉妬がないということです。
主人公にはエリ、家族、友人の可能性、と様々な展開が期待できる一方で、ヒロインであるエリには主人公しかいません。
主人公の世界は閉じていないけれどもヒロインを選ぶ。その一種ヒロイックな決断を盛り上げる上で、嫉妬の要素を排除したのだと考えてみたとき(全く独りよがりの憶測ですが)、この映画に関してはそれが成功していると思います。

私にとって良かったことは、この映画に大人になってから出会ったことであり、もしこの映画を見たのが思春期であったら、自己完結型の傾向にあった私の世界観によりいっそう拍車をかけてしまったであろうと思います。

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]

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